フランス事業について

ワイン樽仕込みのフランス産醤油を醤油屋と
フランスのワイナリーが共同醸造

フランス・サンテミリオンのワイン樽で醤油を製造

醤油発祥の地として知られる和歌山県湯浅町で明治14年(1881年)に創業した老舗の醸造元『丸新本家』の醤油部門、湯浅醤油有限会社と、フランス、ボルドー近郊のサンテミリオンのワイナリーChateau Coutet(シャトー・クーテット)オーナーのアドリアン・ダヴィド・ボーリュー氏(Adrien David Beaulieu)(以下、アドリアン氏)とワイン樽で発酵・熟成させた醤油「SHINKO NOIRE」と「SHINKO BLANCHE」を共同醸造しました。これらの醤油は、フランスでの醤油醸造を可能にした初の取り組みであり、品質と独自性を高くされ、日本にも初めて逆輸入されました。

 

フランスで醤油を醸造したきっかけ

モンドセレクション受賞時の想い

2014 年モンド・セレクションの受賞式がフランスのボルドーで開催され、5 代目新古敏朗が出席した時です。せっかく来たのだから「世界のワイン発酵の勉強をしたい」と思い、シャトー巡りをしました。現地でワインの醸造家を通訳に指名し、ワイナリーのオーナー達と発酵についての話をしました。 

その時、「ワインも醤油も同じ発酵、ここなら醤油がつくれる。道具もほとんど同じや!」と気づき、「ボルドーで醤油をつくりたい。」と思いました。

 

ボルドーで醤油作りを開始

2018 年にボルドーにある内田醸造所の小屋を借りて、「醤油造り」を始めました。原材料は全てフランス産。大豆、小麦はBIO(有機)、塩田でつくられたゲランドの塩を現地調達し、機材なども手作り。ワインの木箱で醤油麹を寝かせ、一級シャトーのワイン樽2本に約400L(リットル)仕込みました。

 

ワイン樽で作った醤油は完成。しかし...

2020 年 1 月にもろみを搾り、完成した醤油と醤油のもろみ (※) をボルドーのレストランのシェフ達に配り歩きました。醤油だけなく、もろみの美味しさにも驚き、興味を持っていただきました。半年後の販売を予定して日本に帰国しました。

ところが2月頃から、新型コロナウイルスのパンデミックにより世界の経済が止まり、飛行機も飛ばずフランスでの醤油事業もストップしました。

 

 

 

サンテミリオン・ワイナリーのオーナーとの共同醸造

日本人シェフと食通フランス人の反応

世界が悲壮感で包まれた中、コロナ禍で休職中だったボルドーの山野純一シェフ(フランス在住20年の日本食の料理人)が、醤油のもろみ (※) でカモ肉を漬け、フランス人に試食会をしました。この時の反応を見て、「この醤油やもろみが手に入るならレストランを開きたい」と山野シェフが連絡をくれました。

(※)【醤油のもろみについて】 一般的には、完全に醤油を搾りきりますが、ここでは5割ほどしか搾っていない 柔らかい状態のもの。

 

有機ワインを作るワイナリーのオーナーと共同醸造を開始

同じ頃、止まっていた醤油造りも動き出しました。 世界遺産の街サンテミリオンの「シャトー·クーテット」(400年間無農薬でワイン醸造をしているシャトー)のオーナーのアドリアン氏から、「醤油造りを一緒にやりたい」と声がかかりました。

アドリアン氏は、サントテール(聖なる大地)に東京ドーム4個分の有機栽培のぶどう畑を購入し、ぶどうの木を半分引き抜き、そこで醤油の原料の有機小麦を栽培予定です。

 

ワイン樽で本格的に醤油醸造 - 湯浅醸造の醤油とフランス醸造の醤油の違い -

湯浅醤油(有)は、天然醸造杉樽仕込みの伝統的な製法で、長期熟成させます。
一方、フランスでの醤油づくりには、ワイン醸造に使用するオークの樽を使用し、完全にフランス産の原料で、有機認定も正式に頂いて製造しています。12ヶ月熟成させる濃口醤油(ノワール)と、小麦主体で半年位熟成させる白醤油(ブランシュ)を生産しました。
本当に何もない0から創りあげました。言葉もフランス語は分からず、片言の英語でここまで出来たことは本当に感謝しかありません。

 

 

数多くの星付きレストランに認められた 2種類のフランス産醤油

初めて完成した醤油は2種類(「SHINKO NOIRE」と「SHINKO BLANCHE」)。2024年4月よりフランス国内での販売を開始。ワイン雑誌にも数ページにわたって掲載されたり、テレビ放送される程とても話題にのぼり、完成した9,000本は、3カ月で約7,000本売れています。今回フランスで醸造した醤油はフランスの星付きレストラン25社にも卸がスタートしました。そんなフランス国内での人気が上々の為、逆輸入には色々な手続きをふんで困難を用し、日本になんとか200本だけ入荷させることができました! (日本で販売するのは「SHINKO NOIRE」のみ)

 

 

 

 

フランス・ボルドーでレストラン事業を開始

2023 年から3月には、ボルドーの世界遺産認定された建物の 1 階に醤油をテーマにした日本食レストラン「Pavillon Yuasa パビオンユアサ(湯浅のはなれ)」をオープンしました。シェフはフランス在住20年の日本食の料理人、山野純一シェフです。

 

美食の国フランスで高評価

美食の国フランスで、日本の醤油とフランスの食材を使ったPavillon Yuasa パビオンユアサ(湯浅のはなれ)は、 2023 年 10 月、オープンしてたった半年でGault&Millau(ゴ・エ・ミヨ)(フランスの食に特化した格付け)のランキングで高得点の 13.5 を取得し、なんとボルドーのレストラン2500店の中で16位、日本食店では 1 位という好評価を頂きました。山野シェフに出会えた奇跡、レストランを開業できた奇跡に本当に感謝しかありません。

湯浅醤油が、フランスで愛される醤油、そして愛されるレストラン、愛される料理になっていって欲しいと思っていたので、この好評価は大変光栄に思います。

 

PAVILLON YUASA
9 Rue Camille Godard
33000 Bordeaux-France
Tel : +33(0)540-054-582
https://utsukushinyy.wixsite.com/pavillon-yuasa

 

 

ワイン樽醸造醤油・SHINKO製造までの沿革

  • 2014.6.29

    モンドセレクション授賞式に参加 ワイナリー見学
    テスト用ワイン樽を輸入して魯山人を熟成
    ボルドーで醤油醸造の構想が生まれる

  • 2016

    ワイン樽 3 種 ×3=12 本発注 醤油を熟成

  • 2018.11

    ポイヤックのドメーヌ内田醸造所で一級シャトー ×2をテスト生産

  • 2020.1

    もろみを搾り生醤油と醤油粕をシェフたちに配る(山野純一シェフに出会う)
    コロナでロックダウン

  • 2020.4

    ボルドー生産醤油とボルドー湯浅醤油レストラン計画が発足

  • 2022.11

    新パートナー アドリアン氏来日

  • 2023.3

    BIO(有機)醤油生産開始 サントテール:NOIRE 醤油と BLANCHE 醤油のもろみを仕込む

    ボルドー市内に「湯浅のはなれ」をオープン

  • 2023.9

    Gault&Millau(ゴ・エ・ミヨ)「Pavillon Yuasa パビオンユアサ(湯浅のはなれ)」がレストランガイドで 13.5 を獲得
    16 位 /2500 にランクイン

  • 2023.11

    BIO(有機)生白醤油(SHINKO BLANCHE) 完成

  • 2024.4 

    BIO(有機)生濃口醤油(SHINKO NOIRE) 完成