8月10日に発行された、旅の手帖9月号のご当地いま推しのコーナに湯浅醤油の宇宙醤油への取り組みが紹介されました。


以下、本文より
醤油の命、麹菌をロケットで宇宙へ、5代目社長が挑む未知なる発酵ワールド
『宇宙へ進出ですか!?』
奇想天外話を耳にして、思わず声が出た。ここは和歌山県中部の海辺の町、湯浅町だ。
醤油発祥の地といわれ、江戸時代の最盛期には92軒の醤油の蔵元があったという。湯浅醤油はその歴史を継ぐ数少ない蔵元で、伝統の木樽仕込みで造る醤油が自慢だ。
「この2基は新たに導入した高さ5.5Mの木樽。日本最大級ですよ」。巨木のように並立する木樽を見上げ、社長の新古敏朗さんが誇らしそうに言う。
その新古さんが今取り組んでいるのが「宇宙醤油」開発だ。アメリカのスペースX社が運用するロケット「ファルコン9」に、醤油造りに使用する麹菌を搭載する予定だ。宇宙に滞在するのは約2週間。地球に帰還後その麹菌を使って前代未聞の醤油造りに挑む。
「宇宙で味噌を発酵させる実験は、欧米の研究者が先に成功させました。味噌は日本のお家芸やのに。醤油の宇宙実験も海外に出遅れたら、湯浅町の面目丸つぶれ。これは負けたらあかんと思った」と新古さん。
伝統を守る一方で、革新を続けることは企業理念でもある。「醤油は中世の僧・法燈国師が中国から金山寺味噌の製法を持ち帰ったのが起源とされます。当時の渡航は命がけ挑戦だったはず。後を継ぐ私もただ守るだけでなく、時代に合わせた食文化の革新を目指したい」
果たして、宇宙空間で麹菌がどう変化するのか。「予想がつかないから醤油職人として挑戦したいんです」
人間の領域拡大とともに、「食」そのものも変化していくのか。未知なる宇宙醤油の今後を見守ろう。
