日刊工業新聞(2023.3.15)
モノづくりに注目しているページに
カカオ醤の開発をもって、ものづくり日本大賞 経済産業大臣賞受賞の記事が掲載されました。

極める ―KIWAMERU― 第9回ものづくり日本大賞
経済産業大臣賞 湯浅醤油㈲
 世界初!醤油発酵技術をカカオに応用『チョコレート第5次革命カカオ醤』

—チョコと出会い新調味料
和歌山県湯浅町は、醤油醸造発祥の地だ。
ここで生まれた「最初の一滴」が日本中に広がり、世界に誇る食文化‟和食”に欠かせない調味料として、親しまれるようになった。歴史ある醤油の街も高度成長期、工業化を進める大手メーカーに対抗できず、産地の地位を低下させていった。
約20年前、湯浅醤油の新古敏朗社長は「発祥地だからこそ、世界一の醤油を作りたい」と決意し、自社の醤油製造を再開させた。伝統に安住せず「昨日よりも、おいしいものを作る」(新古社長)との思いを抱き、日々、新たな原材料の探索や製造方法の研究などカイゼンに余念がない。醤油の進化に取り組む一方、新たな価値や市場の創出も狙う。醤油の味とチョコレートの香りを併せ持つ調味料「カカオ醤」は可能性を探る中で、たどり着いた一つの未来だ。
欧州の展示会を訪れた時、たまたまカカオからチョコレートを作る体験をしたのがきっかけ。甘いものが苦手だという新古社長だが、醤油と同じ発酵食品としてのチョコレートに興味が湧いた。2016年、縁があってベトナム行きカカオツアーに参加。「チョコレート味の醤油を作ってみたい」との好奇心と糀菌を抱き、年1回のベトナム訪問が始まった。
現地の加工場で開発に没頭。初回できたのは「薄い醤油みたいなモノ」(新古社長)。回数を重ねるごとに、ヒントは増えた。醤油は蒸し大豆と炒り麦で作る。蒸し大豆に相当するのがカカオ。炒り麦に代わるものとして、未成熟なカカオを試すと風味が出た。
加工場は障がい者が働く施設。作業者の協力が開発を支えた。新古社長は「一緒に作った家族」と感謝を表す。廃棄する未成熟なカカオが有価物となることで、加工場の新たな収益源にもできそうだ。
新古社長はカカオ醤を「チョコレートの第5次革命だ」と表現する。チョコレートは、砂糖やミルクなどとの出合いがあって進化した。醤油という日本の‟うまみ”が合わさることで今まさに、新たな調味料が誕生した。
最近は海外ファンも新たな醤油づくりに挑戦する。新古社長は「まだまだ発見されていない作り方がある」と、探究心とともに、醤油を進化させていく構えだ。(南大阪支局長・小林広幸)(本文より)

カカオ醤商品ページ ▷ CACAOJANG (yuasasyouyu.co.jp)

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